PROJECT

SEMINAR
Reframe ゼミナールvol.1 文化人類学者 松村圭一郎さん 「文化人類学から考える〜小さき者たちの生活誌」  <2019>
様々な学問分野や文化、アートのまなざしから新たな世界の捉え方を体験・議論する「Reframeゼミナール」を開催。第1回は<文化人類学から考える「リフレーム」の方法>をテーマに、文化人類学者の松村圭一郎さんをお招きしました。


Reframe ゼミナールvol.1
「文化人類学から考える〜小さき者たちの生活誌」

ゲスト:松村圭一郎
日時:2019年7月29日(月)15:00-17:30 (14:45受付開始)
会場:COHSA SHIBUYA 2F (〒150-0002 東京都渋谷区渋谷4丁目5−5)

〈プロフィール〉
松村圭一郎
熊本生まれ。京都大学総合人間学部卒。2005年同大学院人間・環境学研究科博士課程修了。専門は文化人類学。現在、岡山大学文学部准教授。『所有と分配の人類学』(世界思想社)で発展途上国研究奨励賞(2009)・澁澤賞(2010)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社)で毎日出版文化賞特別賞(2018)を受賞。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを行い、富の所有と分配、貧困や開発援助などについて研究。エチオピアから中東への海外出稼ぎ女性の映像を撮り続けている。

〈ドキュメンタリー映像上映会〉
1.「マッガビット:雨を待つ季節」 
松村圭一郎/2016/28分(東京ドキュメンタリー映画祭2018 短編コンペティション部門入選作品)
1998年から通い続けてきたエチオピアのコーヒー栽培農村。2008年3月、はじめて2週間のビデオ撮影を行った。エチオピア暦のマッガビット月(3月頃)は、長い乾季の終りにあたる。人びとはみな雨が降りはじめるのを待っている。村の男たちは雨乞いの祈りを捧げながら、空を眺める。雨が降らなければ、土地を耕して種を蒔くこともできない。ちょうど村の女性たちが中東へ出稼ぎに行こうとしていた。突然の出稼ぎブームだった。その多くは2~3年の契約で家政婦として働く。仲介業者を通して首都に行き、滞在しながらパスポートやビザの申請をし、健康診断を受ける。その渡航の準備だけでお金がかかる。多くの家族は借金を負う。村に戻り、業者からのビザが下りたという連絡を不安げに待つ女性たち。どこの国に渡航することになるのか、いったいそこがどんな国なのか、女性たちは何も知らない。いったい彼女たちはどんな未来を待ちわびているのか。

2.「ウバンチ:名前を変える 人生を変える」 
松村圭一郎/2017/21分(前橋映像祭2017 上映作品)
エチオピア西南部のコーヒー栽培農村。村で生まれ育った17歳のウバンチは、同世代の村の女性たちと同じく、家政婦として働くために海外に渡った。村では、2008年ごろから、女性の中東への出稼ぎブームが起きていた。しかし、ウバンチは5ヵ月で強制送還になってしまう。彼女に何があったのか。キリスト教徒でありながら、イスラーム圏で働くためにムスリムの名前に変えた彼女。2009年3月に約20日間で撮影した映像をもとに、農村で生まれ育ったひとりのエチオピア人女性の過去と未来について、村の女性たちの生活と重ね合わせながら描く。